計算ノート:非周期有限戸田格子
Lax形式
Flaschka変数を用いて記述する(Flaschka変数の説明は至る所にあるので省略)。ai(i=1,⋯,n−1)とbi(i=1,⋯,n)という2n−1個の変数に対して、Poisson括弧を {ai,bi}=−ai,{ai,bi+1}=ai で、他の場合は全て0になるものとして定義する。eijを行列単位として、n行n列の正方行列L,Mを L=i=1∑n−1ai(ei,i+1+ei+1,i)+i=1∑nbieii M=i=1∑n−1ai(−ei,i+1+ei+1,i) と置く。この時、H=tr(L2)/2をHamiltonianとする古典力学系が、非周期有限戸田格子。
天下り的に、classical r-matrixを導入し、 r=j<k∑(ejk⊗ekj−ekj⊗ejk) 簡単なチェックとして、 M=−tr2(r(1⊗L)) を見る。より、一般にn×n行列Xに対して、tr2(r(1⊗X))はXの上三角成分から下三角成分を引いたものになる。つまり、X=U+D+Lと、Uを上三角成分、Dを対角成分、Lを下三角成分に分解すれば、tr2(r(1⊗X))=U−Lである。これが正しいとすれば、M=−tr2(r(1⊗L))は明らか。 X=i,j∑Xijeij としてθijをi<jの時、1で、それ以外の時、0になるものとすると rijkl=(θij−θji)δilδjk なので k,l∑rijklXlk=k,l∑(θij−θji)δilδjkXlk=(θij−θji)Xij を得る。従って、Y=tr2(r(1⊗X))は、i<jの時Yij=Xijで、i>jの時Yij=−Xijが言える。またi=jであればYij=0となる
a=i,j,k,l∑aijkleij⊗ekl に対して a∗=ijkl∑aijklekl⊗eij と定義すると、r∗=−rであるので、 i,j,k,l∑{Lij,Lkl}eij⊗ekl=[r,L⊗1]−[r∗,1⊗L]=[r,L⊗1+1⊗L] が成立しなければならない。
成分で書くと {Lij.Lkl}=c=1∑n(ricklLcj−Licrcjkl+rijkcLcl−Lkcrijcl) となる。左辺は、
L=⎝⎜⎜⎜⎜⎛b1a10⋮0a1b2a2⋮00a2⋱⋯⋯⋯⋱an−100⋮an−1bn⎠⎟⎟⎟⎟⎞
を見ると、対角成分とその上下、左右の成分以外とのPoisson括弧は0になることが分かる {Lij,Lkl}=(aiδij−akδkl)(δi−1,kδjl+δikδj−1,l−δi+1,kδjl−δikδj+1,l)
次に、右辺。 rijkl=(θij−θji)δilδjk c=1∑nricklLcj=c=1∑n(θic−θci)δilδckLcj=(θik−θki)δilLkj=(θik−θki)δil(bkδjk+ak(δk+1,j+δk,j+1)) c=1∑nrcjklLic=c=1∑n(θcj−θjc)δclδjkLic=(θlj−θjl)δjkLil=(θlj−θjl)δjk(biδil+ai(δi+1,l+δi,l+1)) c=1∑nrijkcLcl=c=1∑n(θij−θji)δicδjkLcl=(θij−θji)δjkLil=(θij−θji)δjk(biδil+ai(δi+1,l+δi,l+1)) c=1∑nrijclLkc=c=1∑n(θij−θji)δilδjcLkc=(θij−θji)δilLkj=(θij−θji)δil(bkδkj+ak(δk+1,j+δk,j+1)) となる。まず、右辺にbiに関する項が出ないことを見る bk(θik−θki)δilδjk=bk(θij−θji)δilδjk などに注意すれば bk(θik−θki)δilδjk−bi(θlj−θjl)δjkδil+bi(θij−θji)δjkδil−bk(θij−θji)δilδkj=0 は明らか
従って c=1∑n(ricklLcj−Licrcjkl+rijkcLcl−Lkcrijcl)=ak(δk+1,j+δk,j+1)δil(θik−θki−θij+θji)−ai(δi+1,l+δi,l+1)δjk(θlj−θjl−θij+θji) である。容易に見て取れる通り、i=lかj=kの少なくとも一方が成立しないと0である。更に、i=lかつj=kである場合、 δk+1,j+δk,j+1=0 δi+1,l+δi,l+1=0 なので、i=lかj=kの一方のみが成立している。i=l,j≠kとすると、第二項は0で、第一項はj=k+1かj=k−1の場合以外は0であることが分かる。例えば、i=l,j=k+1とすると、θik−θki−θij+θjiが0でないのはi=jかi=kの時のみ。など、丹念に場合分けして符号を決めていけば、Poisson括弧を再現できることが示せる
求積
QR分解による解法が知られている。多くの解説があるので省略
量子化
非周期有限戸田格子(open Toda chain)の量子化に関しては、1978年のKostantの論文を通して理解される
On Whittaker vectors and representation theory
https://link.springer.com/article/10.1007/BF01390249
U(g)の中心は、そのBorel部分代数(の普遍展開環)U(b+)のある可換部分代数と同型になり、quantum open toda chainのhigher hamiltoniansは、この可換代数の元として理解でき、従って、higher Casimirsの像となっている